2006年02月26日

[続報]マニラ・クーデター

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背景には貧しさが、座視して良いのか

クーデター事件拡大の様相

反大統領議員らを拘束、比・事情聴取を始める。

治安当局は反アロヨ大統領派のベルトラン下院議員やモンターニョ元警察長官ら退職した警察幹部2人を拘束、事情聴取を行った。当局は同日未明、アロヨ氏に批判的なデーリー・トリビューン紙の社屋を捜索、編集用の機材を押収するなど、強権を発動し、反アロヨ派への締め付けを強めている。(共同通信)

 上記(↑)は現時点でのヤフー・ニュースに書かれているものだが、このような強権発動が大衆の反発を呼び、緊迫した状況になってきたようだ。

 フィリピンで起きた軍部によるクーデター計画は、非常事態を宣言し次々と先手を打つアロヨ大統領が優勢に収拾を図っているものとばかり思っていた。しかし8時45分のNHKニュースは、最高責任者が解任された海兵隊で、反政府の動きが見られると報じた。

 アロヨ政権側はクーデターの首謀者として、軍の精鋭部隊のレンジャー部隊の司令官ダニロ・リム准将の身柄を拘束した。しかし、これに反発した海兵隊員は次々に基地に集合・待機しているといわれる。

 これまでにはなかった軍勢力の反発であり、既に基地周辺には反アロヨ支持勢力が集まりだしているという。民衆を巻き込んだ革命の唸りが始まろうとしているのか―。予断を許さない状況となってきた。

 これまで何度か繰り返されてきた「クーデター」による政権転覆となるのか―、それともアロヨ政権側が沈静化に成功するのか―。民心がアロヨ大統領から少しづつ離れているようにも見える。

 丁度、今日フジテレビ系列の地方局を見ていたら、4時から「同じ空の下で、今伝えたいアジア物語・ゴミの山で働く少女14歳」という番組が放映され、その余りにもの貧困さに衝撃を受けたばかりだった。

 歌手の河口恭吾さんがマニラで歌の大好きな14歳の少女と出会う。子ども達は学校にも行く余裕がない。ゴミ山から空き缶や空き瓶を拾って生計を立てている。健康には良いはずはないだろう。伝染病が蔓延するようなスラム街が映し出されていた。

70年前の日本の青年将校の蹶起も、その背景には社会の貧しさがあった。我々はたまたま日本という「経済大国」に生まれただけで快適な生活を享受しているが、近隣にはまだまだこのような貧しい社会があることを座視しているわけにはいかない。

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Posted by the_radical_right at 21:55│ mixiチェック
この記事へのコメント
皆様 こんにちは。
大変、貴重なご意見を有り難うございました。

ご指摘にもありましたが、後進国や紛争国における教育の拡充は急務でありましょう。先進国においても権利に付随するはずの「義務と責任」がなおざりにされ、それが凶悪犯罪の多発に示されているように思います。
紛争国では支配者による一方向的な教育が終りなき戦いを生じさせていると言われます。混乱の中においてこそ教育を最重要とすべき。我が国をはじめ先進国による援助はその観点が欠落していたと言わざるを得ないのかも知れません。
Posted by 極右評論管理者 at 2006年02月27日 21:20
>未定さん、ししまいさん。
拙文なぞにに共鳴して戴きありがとうございます。面映い反面、非常に励みになります。
この瀬戸さんが主宰する極右評論では、現在の日本人が忘れてしまった歴史、目を背けていた事実、感心を抱かない国際情勢を喚起し、深く考えさせられる内容ばかりです。我々一人では非力かもしれませんが、瀬戸さんがおっしゃるようにネット世界の力を糾合し得たなら、大きなうねりを生ずることもできましょう。小生、微力ではありますが、今後ともこの“瀬戸塾”で学んでゆき、日本が極右の力を欲する時には、この旗の下に馳せ参じる所存です。これからも共に頑張りましょう!。
Posted by 怒る小市民 at 2006年02月27日 14:54
各位
本日は仕事で忙しいので、余りコメント入れられませんが、私も植民地経済とおおいに関係があると考えます。ただ具体的にあげれば、貧しさの原因は次ぎのようなことかも知れません。

一次産品の値下がり、産業全体に占める一次産業の割合が非常に多く。その製品の価格が低迷したままであること。砂糖、ココナツ、バナナ、鉱石などですね。

またエネルギー資源が全くなく、全てを輸入に頼ってきた。
出稼ぎを主体とした経済に頼る面も大きいのではないでしょうか。

問題はたくさんあります。後日議論をして行きたいと思います。
Posted by 瀬戸弘幸 at 2006年02月27日 14:29
なるほど。わかりやすい説明ありがとうございます>怒れる市民さん、未定さん
Posted by ししまい at 2006年02月27日 10:09
フィリピンの場合、政権側も民衆側も、自分が民主主義の本流であるという大いなる錯覚に陥っていますね。特に民衆の超安易ピープルパワー(=お祭りデモ、政治カルナバル)には正直うんざりしています。そもそも大統領選挙で、候補者がスラム街にキャンディーを投げて当選するような国、つまり正義の大統領を選出する能力がないフィリピンは、今回はとことんまでやっちゃっていいんじゃないでしょうか。この国の政情に関して、他国が心配しても全く意味がないと思われます。(ピープルパワー2を手放しで大絶賛していたテレ朝のような愚だけは避けるべきですが)タイの近代史のように、民主化の過程で流される高潔なる血を、フィリピンは今後の歴史に刻みつけるしかないのでしょうか...
Posted by 未定 at 2006年02月27日 07:24
おはようございます。

↑怒る小市民さん、感銘を受けました。

更に付け加えるならば、インドネシアも若干その傾向がありますね。まあ、ポルトガルはスペインほど「熱くない」ので、ほんの少し理性があるようですが。

私はとどのつまりは教育にあると思います。「学問」としての教育と「道徳」としての教育。後者はカトリックが多数を占めるフィリピンにおいては、その宗教観念に従属すると思われます。貧困や格差は大きな問題ですが、その根本には教育制度の不備が横たわっていると言わざるを得ません。今後日本がフィリピンのような国を援助する場合、できれば戦中に台湾に行ってきたような教育の援助を優先させる必要がありそうです。
Posted by 未定 at 2006年02月27日 07:24
瀬戸さん、お弟子さんこんにちは。
貧富の格差が著しい社会は往々にして政変が頻発するように思います。加えて、ラテン民族の支配を受けた旧植民地というのは、その傾向が一層顕著です。ラテン民族の猛々しさを是とし、蛮勇を美化する風潮が、銃による政権奪取の野望に駆り立てるのでしょう。この二つの条件に当て嵌まるのがフィリピンです。良くも悪くも中華文化圏の影響下にあった他の東アジア諸国と違い、フィリピンには毛色の異なる文化がある。南洋特有の大らかさと、生命を軽視する酷烈さが同居した社会です。この国は長く経済不振に喘いできたため、他の目覚ましい発展を遂げた東アジア諸国と比較され、「アジアの劣等生」などという不名誉な渾名で呼ばれたりもしています。この国の低迷の根底にあるものは、勝者が全てを支配するという歪んだ社会構造に他なりません。政権を握る者たちも所詮、勝者の理屈を振り翳しているに過ぎないのです。
Posted by 怒る小市民 at 2006年02月27日 00:56
いわゆるスモーキーマウンテンの子供達という奴でしょうか。
しかし、アフリカといい、どうして貧しい状況は変わらないのでしょうか。
長年各国がそれなりに支援もしていると思うのですが。
政治はもちろん国民性も原因のような気がします。
Posted by ししまい at 2006年02月27日 00:43